会頭挨拶
2024年に入って日本の株式市場は史上最高値を更新いたしました。企業による持続的な投資と賃上げの好循環が進み、日本経済が長年のデフレから脱却して本格的な成長軌道を取り戻さんとするタイミングを迎えています。
フィリピンにおいても、中間層が拡大する中、旺盛な個人消費に支えられ、6%台の高い経済成長が予想されています。マルコス政権は来年の中間選挙を見据えながら、インフレの抑制、雇用創出、インフラ整備の推進など、さらなる経済成長の後押しに積極的に取り組んでいくものと思います。
他方で、世界経済に目を転じると、その不確実性は否応なく高まっています。ウクライナ侵攻に加えて中東でも紛争が起き、エネルギーや食糧サプライチェーンに大きな影響を及ぼしています。また、米国や英国、インドを始めとする多くの国で選挙の年を迎え、政治的な変化の可能性も高まっております。東アジア、東南アジア地域においては、中国による覇権主義的な動きが顕在化している一方で、対中関係を巡りASEAN諸国は必ずしも一枚岩ではない状況です。
こうした中、昨年11月の岸田首相のフィリピン訪問に続き、マルコス大統領が12月に日ASEAN特別首脳会議のために訪日、そして、先月にはワシントンで史上初となる日米比首脳会談も実現しました。日米比の関係は、安全保障のみならず更なる経済連携を視野に入れたものと発表されました。戦略的なインフラ整備、重要物資のサプライチェーン強化、情報通信、サイバー、クリーンエネルギーなどの新たな分野での連携強化、そしてフィリピンへの投資が期待されています。
これに先立つ昨年10月には、小林会頭率いる日本商工会議所ミッションが来比し、マルコス大統領や経済閣僚と会談、VAT還付問題など現場で会員の皆様が直面する課題について、率直な意見交換が行われました。マルコス大統領も、自国の経済成長には海外からの直接投資が不可欠であるとし、民間企業、外資企業との対話を通じて、フィリピン市場の魅力向上に積極的に取り組む姿勢を示しています。
フィリピン日本商工会議所は、フィリピンでの事業活動において会員の皆様に日々生じている問題、すなわちフィリピンの競争力の妨げとなっている様々な問題点について、会員企業の皆様の生の声に耳を傾け、在フィリピン日本国大使館、セブおよびミンダナオの日本人商工会議所の皆様、本邦政府機関の皆様、ならびに、主要国商工会議所や産業団体とも緊密に連携しながら、フィリピン政府関係者との対話を重ね、事業環境の改善を促して行くことを第一のミッションとしています。
「開かれた商工会議所」として皆様の当地での事業活動の一助となれるよう、情報発信も含め引き続き努力して参りますので、皆様からも忌憚のないご意見、ご相談をお待ちしております。
会員企業の皆様のフィリピン日本商工会議所への引き続きのご支援を宜しくお願い申し上げます。
2024年5月 フィリピン日本商工会議所 会頭 石川 治孝
歴代会頭一覧
第34代 | 2024年 4月~ | 石川 治孝 | 三菱商事マニラ支店 |
第33代 | 2023年 4月~ | 下田 茂 | 丸紅フィリピン |
第32代 | 2022年 4月~ | 嶋田 慎一郎 | アジア・大洋州三井物産マニラ支店 |
第31代 | 2019年 4月~ | 松永 啓一 | 三菱商事マニラ支店 |
第30代 | 2018年 4月~ | 多胡 直人 | 丸紅フィリピン |
第29代 | 2017年 4月~ | 白石 浩 | フィリピン住友商事 |
第28代 | 2015年 1月~ | 天野 善夫 | 三菱商事マニラ支店 |
第27代 | 2014年 4月~ | 冨野 哲夫 | アジア・大洋州三井物産マニラ支店 |
第26代 | 2012年 4月~ | 石神 高 | 丸紅フィリピン |
第25代 | 2010年 9月~ | 一木 伸也 | 三菱商事マニラ支店 |
第24代 | 2009年 4月~ | 有光 泰彦 | アジア・大洋州三井物産マニラ支店 |
第23代 | 2007年 4月~ | 稲見 俊文 | 三菱商事マニラ支店 |
第22代 | 2006年 4月~ | 池 信介 | フィリピン住友商事 |
第21代 | 2003年 4月~ | 川口 隆吉 | 丸紅フィリピン |
第20代 | 2000年 5月~ | 亀山 将一 | 三井物産マニラ支店 |
第19代 | 2000年 4月~ | 今城 進 | RCBC(三和銀行) |
第18代 | 1999年 4月~ | 玉置 雅治 | 日商岩井 |
第17代 | 1997年 4月~ | 島岡 忠臣 | 伊藤忠商事マニラ支店 |
第16代 | 1995年12月~ | 浅井壮一郎 | ユニオン味の素 |
第15代 | 1993年 6月~ | 宮川 克己 | 三井物産マニラ支店 |
第14代 | 1992年 6月~ | 徳永 康之 | フィリピン・シンター・コーポレション |
第13代 | 1991年 4月~ | 村田 等 | プレシジョン・エレクトロニクス(松下電器) |
第12代 | 1987年12月~ | 鈴木 信二 | 三菱商事マニラ支店 |
第11代 | 1986年 4月~ | 近藤 正弘 | 伊藤忠商事マニラ支店 |
第10代 | 1984年 4月~ | 今井 正明 | プレシジョン・エレクトロニクス(松下電器) |
第 9代 | 1982年 4月~ | 堀部 昌昭 | 伊藤忠商事マニラ支店 |
第 8代 | 1981年 4月~ | 安部 好郎 | 三井物産マニラ支店 |
第 7代 | 1980年 4月~ | 亀岬 達也 | 三菱商事マニラ支店 |
第 6代 | 1979年11月~ | 東 忠 | 日綿実業 |
第 5代 | 1979年 7月~ | 斎田 敏幸 | 伊藤忠商事マニラ支店 |
第 4代 | 1979年 4月~ | 服部 誠 | 三菱商事マニラ支店 |
第 3代 | 1977年 4月~ | 石井 利夫 | 三井物産マニラ支店 |
第 2代 | 1976年 4月~ | 野口 能敏 | 東京銀行マニラ支店 |
第 1代 | 1973年11月~ | 中邑松太郎 | 三井物産マニラ支店 |