第15回 ASEAN事務総長とASEAN日本人商工会議所連合会(FJCCIA)との対話に出席(8/2)

 ASEAN日本人商工会議所連合会(FJCCIA)とジェトロは8月2日、今年1月に着任したカオ・キムホンASEAN事務総長とジャカルタで対話を行った。フィリピン日本商工会議所・下田茂会頭ほか、ASEANの9会議所の代表者がASEAN事務局に集い、将来のASEANのサステナビリティや人材育成に向けた日系企業の貢献や、ASEANがさらに魅力あふれる事業展開先となるような制度・ルール面での改善などを提案した。
 対話には、ASEAN日本政府代表部の紀谷昌彦大使、経済産業省の𠮷川徹志通商交渉官、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)の八山幸司COOに来賓として出席いただいた。

 世界経済の分断リスクが高まる中、サプライチェーンの核となるASEANの重要性は今後さらに増大することが予見される。米国、中国、EUをはじめ、あらゆる国・地域がASEANとの関係構築に重点を置いており、そうしたなか、FJCCIAは、2027年までの任期中、ASEANをリードする役割を担うカオ総長に対し、日系企業の地域経済・雇用への貢献や、技術革新・産業高度化のパートナーとしての存在感をアピールした。

 

 FJCCIAの上田裕之議長(ジャカルタ・ジャパンクラブ理事長)は対話の中で、「日本の民間企業は、ASEANで事業展開する企業市民として、ASEANと協力していく」と述べ、ASEANの投資先としての魅力を最大化し、2023年のASEAN議長国インドネシアが掲げたテーマである『成長の震源地としてのASEAN』の地位を更に強化していくために提案をしていきたい、というコンセプトを強調した。

 今年のFJCCIAの提言書は、日本政府、日本商工会議所、ジェトロが策定を進める、次の50年を見据えた、新しい時代の日ASEAN経済関係を共に創っていく「日・ASEAN経済共創ビジョン」に基づき、ASEAN包括的復興枠組み(ACRF)に沿って、1.より広範な経済統合、2.包括的なデジタル・トランスフォーメーション、3.より持続可能で強靭な未来に向けた前進、4.人的資本の開発という、4つの柱で構成されている。

 下田会頭からは、当地の商船大学(NYK-TDG MARITIME ACADEMY・MOL Magsaysay Maritime Academy Inc.)やエンジニア育成学校(コマツフィリピン)を紹介し、「ASEANにおけるエンジニア、将来の幹部候補の人材育成のためのサポートや雇用のインセンティブ等の強化。新規事業の創出や社会課題の解決に取り組む起業家やイノベーターなど人材交流の推進」について、言及した。

ASEAN事務総長への要望・提案(サマリー)と当日の写真はこちらをご参照ください(JETRO・HP)。
https://www.jetro.go.jp/news/announcement/2023/d0b1be499ba4f75f.html

下田会頭発表資料
https://jccipi.com.ph/wp-content/uploads/2023/08/c2c722932852a28e0f0a12d8cb55b3b5.pdf